スマホやタブレット、PCなどの個人所有率が高くなっている現代では、企業のWebサイトの重要性も高まっていると考えられます。そのため、自社のWebサイトの充実度を図る企業も少なくありません。

 

Webサイトを制作する際には、商品の購入数やサービス成約率の向上などを期待できるサイト構築が望まれます。そのような効果を目指したWebサイトの制作に欠かせないのが「サイト設計」です。

 

この記事では、サイト設計の必要性やメリット、サイト設計時の注意点について詳しく解説します。 Webサイト制作やサイト設計にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

 

サイト設計とは？

Webサイトを制作する際には、サイト設計が非常に重要なポイントとなります。

 

サイト設計とは、そのサイトの主要テーマやコンテンツを定め、サイトの方向性を明確化するものです。サイト設計によってユーザビリティやクローラビリティを向上させることで、SEOの強化が可能です。

 

十分なサイト設計を行わずに体裁を整えただけのサイトは、ユーザーの定着が悪かったり、検索結果の上位に表示されなかったりすることがあります。

 

サイト設計は、Webサイト制作のベースを形作る重要な工程といえるでしょう。

 

サイト設計の必要性

ここからは、サイト設計の必要性について、以下の項目について詳しく解説します。

 

• 一貫性を持たせたサイト構築ができる
• ユーザーのニーズに応えられる
• 集客率の向上が期待できる
• SEO評価が上がる
• サイト公開までの最適なスケジューリング
• サイト公開後の保守・運営のしやすさ

 

一貫性を持たせたサイト構築ができる

 

サイト設計が十分に行われていれば、Webサイトのコンセプトや方向性を明確にすることができ、一貫性のあるコンテンツを提供できます。

 

構造設計が不十分である場合、コンテンツの内容が統一されずテーマがバラバラになってしまいます。このようなWebサイトは信頼性が低いと評価され、利用者が離れてしまう原因にもなるでしょう。

 

構造設計がうまく行われていると、コンテンツ数が多くなってもサイトが整理された状態を保つことができます。そのため、利便性が高く運営者や管理者にも利用しやすいサイト構築が可能です。

 

ユーザーのニーズに応えられる

 

適切なサイト設計が行われている場合、ユーザーのニーズに応えることができます。

 

目的の情報に素早くアクセスできなかったり、同じページを行ったり来たりしていたりすると、検索エンジンによって「不適切に設計されている可能性がある」と評価されてしまいます。

 

サイトの評価に直接影響するので、ユーザーが効率的に目的を達成できるよう、ユーザビリティの高いサイト設計を目指すことが必要です。

 

集客率の向上が期待できる

サイトの設計段階でユーザビリティを考慮しましょう。ユーザーに親切で使いやすいサイトは、結果的に集客や成約につながります。

 

使いやすいサイトは、視認性に優れており必要な情報に簡単にアクセスが可能です。使いやすいサイトであれば、サイトに訪れるユーザーが増えるだけでなく、滞在時間も長くできます。

 

SEO評価が上がる

 

サイト設計段階で内部構造をきちんと考慮しないと、Googleなどの検索エンジンにサイトを適切に評価してもらえない可能性があります。

 

サイトの設計が適切に考えられている場合、ユーザーの好ましい行動履歴が検索エンジンで評価されるということはもちろん、クローラビリティの向上にも期待できます。その結果、SEOの強化につながるのです。

 

サイト公開までの最適なスケジューリング

 

的確なスケジューリングが、サイト制作の成功にとって非常に重要であるといえます。

 

Webサイト制作には、必要なタスクや工数を計算し、プロジェクトのスタッフ全員がその順序や進捗状況を把握しながら制作を進める必要があります。

 

タスクの順序や優先順位などが不明確なままでは、「いつまでに」「誰が」「どのタスクを完了するか」が把握しきれず、サイト公開までの工数計算に誤差が生じてしまう可能性があります。

 

サイト公開までの流れをスタッフ全員で共有しておけば、予期せぬ問題やスケジュールの狂いにも柔軟に対応することができます。

 

サイト公開後の保守・運営のしやすさ

 

サイト公開後の保守・運営のしやすさは、サイト運営において非常に大切です。

 

サイトに一貫性が生まれることで、サイト自体の方向性も明確になります。運営途中で担当者が異動した場合にも、運営をスムーズに進めることが可能です。

 

サイト設計の流れ

ここからは、実際にサイト設計の流れを見ていきましょう。

 

サイト設計の基本的な手順

 

サイト設計の基本的な手順は、以下のとおりです。

 

1. 現状の課題の整理・見える化
2. サイトの目的や具体的なターゲットの設定
3. サイトマップ作成
4. ワイヤーフレーム作成

 

Webサイトを制作する際には、現状の課題の整理と見える化が必要です。この作業によって、自社の強み・弱みや改善すべき点が明確になり、Webサイトの方向性や目標を決定づけることができます。

 

また、Webサイトの目的やターゲットを設定することも重要です。具体的な目標設定を行い、ターゲット層を決めたうえでサイトマップを作成し、必要な情報をカテゴライズして階層化します。

 

サイトマップが完成したらワイヤーフレームを作成し、ユーザーの興味を引くレイアウトを提案します。ワイヤーフレームは。装飾のないシンプルなデザインで作ることがおすすめです。

 

Web制作の流れに関しては、Web制作の流れの記事もおすすめです。

 

設計ツールやテンプレートの利用

 

Webサイトの制作においては、設計ツールやテンプレートを使用することもおすすめです。

 

サイト内のコンテンツを制作する際に、プロジェクトのメンバーの間でイメージの共有がうまくできないことも少なくありません。このような問題を解決するためには、先にサイトの目的やターゲットに関する要件を明確に定義し、フォーマット化することが大切です。

 

また、こうしたツールやテンプレートの利用は、外部にWebサイトの制作を依頼する際にも正確な要件を伝えるのに便利です。

 

サイト設計における重要なポイント

サイト設計を行うにあたっては、押さえておきたい重要なポイントがいくつかあります。ここからは、サイト設計における重要なポイントについて解説します。

 

• ターゲットの明確化
• 専門性・信頼性の高さ
• 的確なキーワード設定
• 対応デバイスの決定
• サイトの使いやすさ
• 階層は浅いほうが良い
• URL名は簡潔なものにする

 

上記のポイントについて、項目ごとに詳しく見ていきましょう。

 

ターゲットの明確化

 

Webサイト作成の初期段階では、ターゲット像を明確化することが重要です。

 

どのようなユーザーをターゲットにしているのかを明確化することで、ユーザーの満足度が高いページを構築できます。

 

ただし、顧客層を理想化しすぎると、実際の訪問者に合わないサイトになるため注意が必要です。ユーザーの滞在時間や回遊のようなサイト内のユーザー行動も重要な情報と考え、それらを踏まえてターゲットを設定しましょう。

 

専門性・信頼性の高さ

サイト設計では、専門性を高めることも重要なポイントです。特に、テーマに沿った特定のシソーラスを用いることで、キーワード選定やサイトの構成設計が適切に行われるようになります。

 

サイトのテーマを決め的確なキーワードを選定し、カテゴリー分類することで専門性の高いWebサイトに仕上がります。これによってSEO向上にもつながり、検索エンジンの検索結果で上位表示される可能性が上がるでしょう。

 

的確なキーワード設定

より完璧なコンテンツを制作するためには、事前に最適な関連キーワードを選定しておくことが重要です。 サイトのテーマに合わせた関連キーワードを見つけるには、キーワードツールを使用するのがおすすめです。

 

キーワードツールを使用することで、そのキーワードに関連するトピックをすべて網羅できます。SEO対策にもなり、Google検索上位にも上がりやすくなるでしょう。

 

対応デバイスの決定

 

Webサイトは、これまでPCからの閲覧が主流でしたが、近年スマートフォンによる閲覧数が伸びています。そのため、Webサイトがあらゆるプラットフォームおよびデバイスに最適化されていなければ、顧客が離れてしまう可能性があります。こうした状況から、あらゆるデバイスに対応する必要性があるのです。

 

レスポンシブデザインはその1つの方法であり、1つのHTMLで複数のデバイスに対応することができます。レスポンシブデザインを採用することで、読み込みスピードが向上し、ユーザーが探している情報を見つけやすくなります。

 

サイトの使いやすさ

乱雑なページやコンテンツ配置は、ユーザー自身の現在位置が不明確になる原因となります。このような場合、サイトからの離脱を招いてしまう可能性があります。

 

Webサイトの構造設計において適切な設計が施されることで、ユーザビリティが向上します。わかりやすいカテゴリー分けやページ構成によりWebサイトが整理され、ユーザーはサイト巡回を快適に行えるでしょう。

 

階層は浅いほうが良い

 

Webサイトの内容を更新するたびにページ数が増えてしまい、検索エンジンのクローラーやユーザーがサイト内を回遊しにくい構造になる場合があります。適切なサイト設計は、WebサイトのSEO評価を高めるために重要なプロジェクトです。

 

ツリー構造やリニア構造など、Webサイトのリンク構造にはさまざまなパターンがありますが、自社にとって最適な構造を使用し階層を設定する必要があります。

 

Webサイトのトップページからできるだけ2クリック以内で全てのページに到達できるようにする構造を作ることで、訪問者と検索エンジンのクローラーにとって巡回しやすいWebサイトになるでしょう。

 

URL名は簡潔なものにする

 

短く簡潔なURLを使うことで、SEOやユーザビリティが改善されることがあります。

 

URL名には、サイトの内容がわかりやすく表現されるように、関連トピックやジャンルを含めると良いでしょう。これにより、検索エンジンの判断がよくなるだけでなく、利用者がページ内容を理解しやすくなります。

 

サイト設計は外注も可能

Webサイト制作やサイト設計には、専門的な知識が必要です。そのため、サイト設計を外部のWeb制作会社などに依頼するという選択肢もあります。ここからは、サイト設計の主な外注先を紹介します。

 

サイト設計の主な外注先

 

サイト設計には、下記のような外注先があります。

 

• 大手Web制作会社
• 中小規模Web制作会社
• フリーランス

 

それぞれについての特徴やメリット・デメリットについて解説します。

 

大手Web制作会社

 

Webサイトを作成してくれる企業は多く、その規模もさまざまです。在籍しているエンジニアのスキルや知識、センス、業界での経験によってホームページのクオリティに大きな差が出るのが特徴です。

 

大手企業は所属するスタッフが多いため、納期に柔軟に対応できますが、それに比例して費用も高くなる場合があります。

 

中小規模Web制作会社

大手企業から転職したり独立したりしたスタッフが中小企業に多く所属するようになり、品質面では大手と中小の間にそれほど差はないことも多いようです。

 

費用面では、中小規模のWeb制作会社に大手企業と同じデザイン・機能のサイト設計を依頼した場合2倍以上安いケースもあります。

 

ただし、品質に問題がある悪質な業者も存在するため、企業担当者は業者選びの目を養う必要があります。

 

フリーランス

 

フリーランスのWeb制作者には、企画から完成までを一貫して任せることができ、費用を抑えられるというのが大きな利点です。

 

クラウドソーシングやSNS、Google検索などを活用して依頼ができます。ただし、フリーランスの能力範囲はそれぞれ異なるため、実装したい機能に対応できない場合もあります。

 

依頼をする前にフリーランスの実績やスキルを十分に吟味し、信頼できる制作者を選ぶ必要があります。

 

サイト設計を外注する際の注意点

 

Webサイト制作会社にサイト設計を依頼する場合は、必要な情報を提供するため提案依頼書（RFP）を作成することをおすすめします。

 

提案依頼書はWebサイト構築の目的や目標などを記述した書類で、制作会社と自社で共通の認識を持つために必要不可欠なものです。提案依頼書には、目的、ターゲット、導入システム、ページ数、対応デバイスなどの必要事項を記入します。

 

サイト設計を外注した場合のメリット・デメリット

ここからは、サイト設計を外注した場合のメリット・デメリットを紹介します。

 

メリット

 

• 自社に合った高品質のWebサイトを制作できること
• 検索エンジンによる上位表示が期待できること
• セキュリティ面で高い信頼性が期待できること

 

外部にWeb制作を依頼することで、専門的な技術を活用することができます。 適切なキーワードを選定し、流入増加をもとに設計することが前提のため、集客数増加や販売促進につながります。

 

セキュリティに関しても、Webサイトのダウンや機密情報の流出などが考えられます。しかし、専門家にWebサイトの制作を依頼することで、そのような攻撃からサイトを保護することが可能です。

 

デメリット

 

• すぐ更新できないケースがある
• コミュニケーションがうまくいかず希望のデザインにならないことがある
• 外注の費用がかかる

 

Web制作を外注すると、緊急でサイトを更新したいときに素早く対応できない場合があります。

 

また、外注先とのコミュニケーションが不十分な場合、外注費用をかけたにもかかわらず期待どおりのWebサイトにならない可能性もあります。適切な外注先の選定を行うことでこのような事態を避けるようにしましょう。

 

サイト設計の価格相場

 

サイト設計にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

 

ここでは、サイト設計の価格相場についてWebサイトの種類別の相場と外注先別の相場（10ページ程度の一般的なコーポレートサイト）について以下にまとめました。

 

Webサイトの種類別の相場
コーポレートサイト	20～80万円
事業・サービスのプロモーションサイト	30～100万円
採用サイト	30～100万円
ランディングページ	10～50万円
ショッピングサイト	100万円～
オウンドメディア	40万円～

 

外注先別の相場（10ページ程度の一般的なコーポレートサイト）
大手制作会社	100～300万円
中堅制作会社	50～100万円
小規模制作会社	30～80万円
独立系フリーランス	10～30万円
副業系フリーランス （クラウドソーシングなど）	5万円～20万円

 

上記の価格は、あくまでも目安です。デザインの場合でも、テンプレートをカスタマイズするか、オリジナルのものを作成するかによって、価格が大幅に異なります。詳細を知りたい場合には外注先の見積もりを取り、予算に合わせて選定しましょう。

 

まとめ

Webサイトは、企業にとっては顔ともいえる非常に重要な部分であり、サイト設計はそのWebサイトの成功に欠かせない工程です。Webサイトを制作する際には、目的や最終的に達成したい目標を明確にして、サイト設計することが重要なポイントとなるでしょう。

 

外注する場合には、最小限のコストで最大限の効果を発揮するためにWeb制作会社の選定や見積もり、デザイン案の依頼といった段階が極めて重要になります。

 

しっかりとしたコンセプトやターゲットを設定することで、自社に合ったWebサイトの制作が可能です。 ツールやテンプレートなどをうまく活用し、ユーザビリティの高いサイトを作成しましょう。